四国ツーリング 2002
Part 3

2002.9.21 四国路堪能

昨晩はよく眠れた。気持ちの良い目覚めだ。今日はハードな走行になるはずなのでちゃんと寝られてよかった。

昨日、朝食が食べられなかった反省を踏まえて今朝はホテルで朝食をとる。ホテルによくありがちな朝食バイキングだ。他に食べている人を見ると、国体の選手やコーチらしき人たちが多い。このホテルにも国体関係での宿泊が多かったようだ。窓から見える国道には国体選手を乗せるであろうバスが停まっている。

今日は四国に来た第一目標である四国カルストに行くつもりだ。このルートでは昼食が食べれれるかどうか分からない。しっかり朝食を食べておこう。いくら食べても同じ代金なのだし。

朝食を食べ終わり、部屋に戻って満腹で張った腹を落ち着かせるため、しばらくくつろぐ。だが、いつまでものんびりはしていられないので出発の準備だ。荷物をまとめる。忘れ物がないか確認した後、部屋を出る。

ホテルの玄関脇に停めてあるバイクに荷物を積み込み、チェックアウトの手続きをする。さて出発だ。

このホテルは国道32号に面している。そのまま国道32号を西に向かう。すぐに国道32号は終わり33号をさらに西に進む。だんだんと高知市の市街地は終わり、田舎っぽくなっていく。

国道33号を進むと次第に山深くなってくる。だんだんクルマの量も減っていく。予定では国道33号から県道18号へ入るつもりなので、道を間違えないように頻繁に停まり地図を確認する。

タンクバッグを持っていないので、停車してバイクから降りないと地図を見ることができない。タンクバッグはガソリンタンクに傷をつけるという話を聞いていたので、タンクバックは持っていない。しかし、これでははじめての道を地図を頼りに走るには不便だ。今度タンクバッグを買うことにしよう。

などとひとり考えつつ道を走っていると、ようやく県道18号への入り口に来た。四国の道はひどく荒れていたり、狭かったりするとの評判を聞いていたので、県道ともなるとどんな道になるのかと想像していたが、案外と普通の道だった。

しかし、この県道は全然ほかの車両が走ってないな。ほとんど自分だけの専用道路になっている。程よいワインディングを楽しみながら進む。おっと、スピードの出しすぎには気を付けないと。

思っていたより快適なライディングが楽しめた県道18号が終わると、国道439号に合流する。国道439号は別名「与作」と呼ばれる有名な国道だ。四国を横断するこの国道は、国道とは名ばかりの狭くてひどく荒れていることで有名な道だ。国道ではなくて「酷道」などとも書かれたりする。

国道439号を進むと、なるほどその評判は嘘ではなかった。所々でクルマ1台がやっと通れるような幅の道路が頻繁に続く。しかもクネクネと曲がりながら。これは昔からある農業用の道をそのまま国道にしたんだな。昔は肥溜めにためた肥料を樽に入れて畑や田んぼまで運ぶため、あまり傾斜のきつくない道にしなければならなかった。だから細くてクネクネな道が出来上がったのだ。

たしかに辺りの景色はまるで「まんが日本昔話」に出てくるような農村の風景だ。誰しもがこれが日本の田舎だと想像するような、日本人の原風景とも言うような景色が続く。山あいに首をたれた稲穂が光る段々畑、いつ頃からそこに建っているのか想像できない古い農家の建物。

国道439号
与作

しかし、この国道439号はこんな道なのに何台かのクルマやバイクと出会う。どれも四国カルストに行くのだろうか。アメリカン・バイクの代名詞的存在のハーレーさえ通る。よくこんな狭くて曲がった道をハーレーでくるものだ。

国道439号から県道48号へ入り、四国カルストを目指す。もう少しのはずだ。しばらく細い道を行くが、次第に観光用に整備された道に変わっていく。周りを見るとカルスト特有の石灰岩がごろごろしているのが見えてくる。

カルスト間近
カルスト間近

県道48号を曲がると、急に開けた尾根道に出た。すごい景色だ。カルストの奇怪な形の石灰岩もさることながら、尾根道の向こうの山まで開けたパノラマがすごい。

尾根道のパノラマ
尾根道のパノラマ

しかも、静寂。こんなにすごい景色なのに人がまったくいない。すこしここに停車して展望を楽しもう。しかし、すごい景色だ。遠くの山並みがすばらしい。あまりにも遠くまで広がる景色に、眼球の焦点が今までに経験のない遠距離に合っているのを感じる。

しばらくするとクルマで来たらしい中年夫婦が現れた。バイクのナンバー・プレートを見て東京にあるナンバーだとわかるらしい。「東京から来たんか―」と関西弁風の声が聞こえる。なんだかいろいろと質問されそうな雰囲気だ。そろそろ行こうかな。遠くに巨大な風力発電の現代風の風車が見える。あんなに遠くにあるのに結構大きく見える。あそこまで行こう。

風車の根元まで来たが、その少し先にレストランらしき建物が見える。駐車場もあるようだ。さらにそこまで行くことにしよう。

駐車場にバイクを停める。駐車場には何台かのクルマとバイクが停まっている。何人かの人たちが景色を眺めている。しばらく周囲を歩くことにする。空気が澄んで気持ちいい。10分ほど散歩した後、バイクを駐車している場所に戻り、今晩の宿泊先を確保することにした。

今晩は高松に停まることにしていた。明日はもう11時には徳島からフェリーに乗り東京に戻らなければならない。それを考えると今日中に高松までには行っておく必要があるのだ。

便利な世の中になったものだ。携帯電話のおかげでこんな標高1,400mを超える山の尾根から電話でホテルの予約ができる。2件目のホテルで空きが見つかり、予約する。

さて、今日は四国カルストまで行くことは決めていたが、そこから先どのルートを通るかまでは決めていない。ガイドブックに付いていた大きな地図を駐車場に広げ、考えていると、国道439号で走っていたハーレー乗りの人が近づいて話し掛けてきた。

驚くことに、この人、徳島からここまでずっと国道439号を通ってきたらしいのだ。しかもハーレーで。絶対間違ってるよ…

439号は国道のくせにガソリンスタンドがほとんどないようで、深夜にガス欠で近くの民家に助けを求めガソリンを分けてもらったとか。夜はあまりにも暗くなるので先に進めなくなるが、道沿いに宿泊施設が少ないので、テントで泊まりながらここまで来たとのこと。先ほど自分が通ってきた道はまだマシな方らしい。恐るべし与作。

これからまた戻り、ずっと国道439号を行くらしい。自分はこれから瀬戸内側に抜けて高松まで行くことなどを話しながら、ルートを決めた。

ハーレーの人とお別れし、さあ出発だ。ここからは高知県から愛媛県に入ることになる。国道440号へ抜け、さらに国道33号を北上する。この道は渓谷沿いのまったりした道が続く。

県道212号から国道494号へ。さらに石鎚スカイラインへ向かう。

石鎚スカイラインは西日本最高峰の石鎚山の近くを通り、石鎚山を眺めながら走れる観光道路だ。以前は有料だったらしいが今は無料になっている。料金所跡を抜けて石鎚スカイラインに入ると豪快なワインディング・ロードが続く。

西日本最高峰だけあって、標高が高くなるにつれ気温がどんどん下がっていく。しかも霧が立ち込めて日が差さないので体感温度はかなり低く感じる。メッシュ・ジャケットでは明らかに寒い。

ようやく石鎚スカイラインの終点にある土小屋まで来た。さ、寒い。。。駐車場にバイクを停め、荷物から服を出し重ね着するが冷えた体は急には温まらない。体調も崩し始めてきたのか、腹が痛い。しばらくここで休憩していこう。

基本的には石鎚スカイラインはここで行き止まりのようだ。実際にはここから瓶ヶ森村道が伸びていくが、しばらく眺めていてもそこに入っていくクルマを一台も見かけない。しかし、ここで引き返していては瀬戸内海側に行けないので、その村道を行くしかない。

村道の入り口を見ると、クルマが行く道というより、登山者が行くような雰囲気の道だ。一応、舗装されているが、どこまで舗装されているのだろう。途中から舗装がなくなっても、まったくおかしくないといった感じだ。

体調も安定してきたので、意を決してその村道を行くことにする。道の両側は熊笹が生い茂っている以外何もない。霧がますます濃くなり視界は5mくらいになった。うぅ、早く通り過ぎたい道だ。ライトをハイビームにして警戒しながら進む。

しばらく進むと熊笹は少なくなり断崖路に変わる。落石が多い。道路の3分の1が落石で埋まっていたりする場所もある。

この村道、想像以上に怖い道だ。道幅は狭く、道路を外れるとすぐ崖だ。しかもガードレールがないだけでなく、所々道路が崩れ落ちている。崩れ落ちた部分は注意を促すため細い棒が立てられ赤いテープが張られているだけだ。もし、霧で視界が遮られ、落石を避けた拍子にそこに突っ込んだりしたら、もう終わりだ。

写真があればわかりやすいんだが、とても写真なんて撮ってる余裕はなかった。早くこの道を通り過ぎてしまいたかった。

少しずつ霧が晴れてきたが、道路は相変わらず。それどころか所々工事中で舗装がない。舗装がない部分は、工事中のために泥と砂利を混ぜたものが敷き詰められていたりする。タイヤのグリップがまったくなくなるので危うく倒れるところだったが、何とか通り抜けることに成功。まったく体だけじゃなくて肝も冷やす道だ。

やっとのことで村道の終点にある桑瀬峠の駐車場に到着。緊張と体力の消耗で疲れた。霧も晴れ、ここからの山の景色を眺めながらしばらくここで休憩する。人工物がまるで見えない山あいの風景は、四国の山深さを感じさせる。

桑瀬峠
桑瀬峠

ここから国道194号を通り松山自動車道で高松まで行く。国道194号はツーリングマップルには「気合を入れて走らないと先に進めない断崖路」と書いてあるが、現在はよく整備された大変走りやすい道になっていた。道路の脇を良く見ると、旧道が残っている部分があった。ああ、村道と同じかそれ以上だ。昔はここもあんな道だったんだな。

松山自動車道までくれば後は速い。いよ西条ICから松山自動車道に乗り高松自動車道へ。かなり疲れていたのか途中立ち寄ったSAのベンチでうたた寝してしまった。

100kmくらい走り高松西ICで高速を降りて高松市の中心地へ行く。さすがに夕方の市街地は渋滞している。多分、高松自動車道がこの部分だけまだできていないので、さらに先に行くには高松西ICで降りて、一般道で高松中央ICまで行かなければならないからということもあるだろう。

高松市の中心地を過ぎ、少し外れたところに今晩泊まるホテルがある。ホテルに到着したときには、日は落ちてしまっていた。チェックインし部屋に入る。

高松といったら讃岐うどんだ。高松のガイドブックのトップ記事がうどん屋100軒の紹介になっている。しかし、この時間になると空いているうどん屋はあまりない。有名なセルフのうどん屋は午後は早々に閉店してしまう。午前中のみ営業という店も多い。

ガイドブックの中から、9時頃までやっている店を3つくらい探し、高松市中心地までバイクを走らせ食べに行く。もう疲労困憊していたが、高松まできてうどんを食べないわけにはいかない。

セルフの有名店ではなかったが、ちょっと上品そうな店で釜揚げうどんを食べる。本場の讃岐うどんを堪能したら、疲れているのですぐホテルまで戻る。幸いなことにこのホテルの目の前が酒を販売しているコンビニだ。ビールを買ったあと部屋まで戻り、すぐに熱いシャワーを浴びる。

今日一日の汚れを落とした後にリラックスしながらビールを飲む。早速、眠くなってきた。

今日は本当にいろいろな道を走った。これはきっと良い思い出になるな。明日は午前中に徳島から東京へ戻るフェリーに乗る。今日のうちに四国らしい濃い体験ができてよかった。

四国マップ3日目
3日目の走行ルート

Part 4へつづく